Asta の日記 DAY 14 「三原山と巨人の神様」

Labas、 こんにちは。 

 八丈島に住み始めた時、目に飛び込んでくる八丈富士、三原山、海と八丈小島の中で、すっと背伸びをしているような三原山はもっとも目立っていました。リトアニアには山がないこともありますが、毎日通勤の道を通ったら三原山は私の印象に強く残り、登ってみたいという気持ちが湧きました。しかし、もう一つの忘れてはいけない八丈島の山である八丈富士が三原山の先に私を3回も登らせました。島に来て半年が経った7月の終わり、三原山を眺めるだけの私に、ついに友達と三原山に登山するチャンスが来ました。

 天気のいい土曜日の朝三人のチームで坂上に向かって、大坂トンネルを抜けたらすぐ左の道に曲がって、「三原山登山道入口」の目印があるところから三原山を登り始めました。三原山は濃い霧に包まれていました。細かい階段、霧と近くに生い茂る植物は、上か下か、二つの方向にしか進めない環境を作っていました。最初は小さな階段の道が登りやすかったですが、途中からいきなり道を防いでくる植物はまさにジャングル。

 頭を守りながら慎重に進むと灰色の霧に包まれた空が見えてきました。ここはもう山頂なのかなと思ったら、三原山の石碑は30分先の道にありました。ようやく「三原山山頂700.9m」に着いたら、霧で何も見えない中でここが本当に山なのか確認するため、大きな声で「ヤッホー!!!」と叫びました。すると山から私たちの声がやまびことなり戻って来てくれました。その時ドキドキしながら初めて三原山に登った達成感を味わうことができました。

 帰りも霧の中、道が分かりにくくて、滑らないようにずっと足元を見ていました。少し頭を上げて回りを見ようとしたら急に目の前にあった霧が晴れて、三原山がパーと顔を出しました。びっくりして、友達に「皆見て、山が見えるよ!」と言いました。ずっと霧の中にいたせいかわかりませんが、晴れた景色に圧倒されました。そして山の風景を眺めているうちに少し変わった凸凹に気付きました。よく見ると、その山は眠っている巨人の顔に見え、私は「三原山には巨人がいる」と友達に声を掛けましたが、友達は「山の神様みたいね」と私に言いました。

 同じ景色を見ても表す言葉のチョイスは文化の違いなのかなぁと面白く感じ、リトアニアには巨人、日本には山の神様がいることがわかりました。ぐっすり眠っている巨人の神様を起こさない方がいいと思ったら、私の考えが読まれたように、神秘的な霧がまた降りてきて、巨人の神様の顔を隠しました。私たちも山を降りることにしました。

 霧で思うように景色は楽しめませんでしたが、トトロの世界を思わせる植物のトンネルや階段、友達と一緒に過ごせた時間、ふいに出会った巨人の神様は、私にはとても素敵な体験になりました。

 私はまた三原山に登ろうと思います。今度はきれいな景色と何がおきるか楽しみに。

また今度、IKI!