Asta の日記 DAY 28「一流ドライバー」

 最近「ドライブは楽しい」と感じるようになりました。晴れた日に車に乗って、スピーカーで音楽を流して、底土、大阪トンネル、南原千畳敷などへ向かうと気持ちが良くなり、ヴァケーションの気分になります。今までは車で移動することは「必要である」、「AからBまでたどり着くための手段」でしたが、その内に目指す目的地がなくても、ぐるぐると島を運転することが楽しく感じてきました。

 リトアニアの生活では車が非常に便利なものです。地下鉄がないリトアニアでは、車、バスや電車が主な移動手段になります。私の場合では高校生になってから20+kmで離れている首都のVilnius(ビィリニュス)に通うことになって、朝-自家用車と夜-路線バスで移動していました。大学生になってから通勤時間を減らすため自分で免許証を取って運転することになりました。けれども、国で交通量が一番忙しいビィリニュスは初心者ドライバーの私にはハードルが高い始まりでした。家を出てすぐ始まる90km/h速度の森林の道路、しばらくして交通標識だらけに変わる道や朝-夜の雑踏…周りに注意しつつ集中力をマックスにして、運転する時音楽さえ聞いていませんでした。数年間賑やかな道を走り続けたら、気が付いたら緊張感が消えつつ、自信もつきました。そのような道路に育てられ、ちょうど「初心者ドライバー」を卒業したと感じた頃、八丈島に行くことになりました。

 来島して、坂や雨の日が多い八丈島にも車が必要と分かりました。私が運転することになった車はリトアニアで見かけない軽自動車でした。その車はオートマチック車で、ハンドルが右側にありました。そして一番大きく感じた違いはクラッチがなかったことです!今まではマニュアル車しか乗ったことがなかったため、ブレーキをクラッチのつもりでよく踏みました。車以外慣れていないことがたくさんあって、標識で書かれている漢字の意味を分からなかったり、リトアニアのルールに従って昼間でも常にライトを付けたり、オートマチック車の「2」と「D」の違いを知らなかったり、車に乗ろうとした時、助手席から入ろうとしたりもしました。

 

 しかし、一番大きな不安を感じたことは日本が左側通行であることでした。リトアニアは右側通行なので、間違って反対車線に入ったら大変なことになると思って、最初の数日間は徒歩で島を回って、頭の中で運転シミュレーションをしました。けれども、実際に車に乗ったら、「あれ?待て、どっちがどっち、日本は右、リトアニアは左?(答:日ー左、リー右)」と頭が完全に混乱し、考えれば考えるほど分からなくなりました。その悩みをお母さんと電話で相談して、日本だと「真ん中の線はドライバー席の右側にあるべき」というルールを作りました。毎回呪文をかけているように「真ん中の線は…」、「…ドライバー席の…」「…右側にあるべき」と繰り返しながら進みました。

「真ん中の線はドライバー席の右側にあるべき」

  運転すればするほど島の運転に慣れ、一ヶ月もかからず普通に走れるようになりました。1年で国際免許証が切れた時は移動の自由がほしくて、東京府中試験場で運転免許試験を受け、合格しました!リトアニアでも八丈島でも最初は運転することが難しかったですが、努力を尽くしたごほうびはどこでも行ける自信と音楽を聞きながら、綺麗な島をドライブすることの楽しさです!