水道料金改定にあたっての住民説明会を開催しました

 令和5年10月からの水道料金改定にあたり、現在の水道事業が抱える課題や財政状況、水道料金改定についての考え方を説明しました。

開催日場所
5月 9日(火)末吉公民館
5月10日(水)樫立公民館
5月11日(木)中之郷公民館
5月12日(金)町役場集会室

説明会の内容等は、以下をご覧ください

〇水道料金改定の説明会資料はこちらから(PDF:別ウィンドウで開きます)

〇説明した内容(要約)

公営企業の現状

 地方公営企業(公営企業)は、「地域住民の福祉の増進」を目的として、都道府県や市町村などの地方公共団体が、事業を経営する企業体をいいます。
 公営企業会計は、町の基本的な行政サービス(福祉、道路整備、教育など)を行う「一般会計」と一定のルールのもとで切り離された会計で、独立採算を原則としてし、一般会計からの過度な支援に頼ることなく自主財源で経営することや、適正な料金設定や能率的な運営を行うことで、経済性を発揮することが求められています。また、1年ごとの予算執行のみでなく、事業を継続していくために、中長期的な視点に立って、計画に基づいた経営も重要となっています。
 町には水道事業、バス事業、病院事業、浄化槽設置管理事業の四つの公営企業会計がありますが、どの事業も経営的に厳しく、一般会計から多額の支援を受けて成り立っている現状です。令和5年度は、経営支援として四つの会計を合わせて約3億円が予算計上されています。特に、病院事業やバス事業は、不採算になるため多額の支援をいただいています。そのような中、水道事業は、皆様のご理解もあり、従来から水道料金収入によって、収支のバランスがとれていましたが、ここ数年は一般会計からの赤字補てん(資金不足補てん)をいただかなければならない状況が続いています。

水道料金の改定

 水道事業においては、老朽化が進む浄水場などの施設更新や、災害に備えて耐震性のある水道管の敷設替えに取り組んでいます。
 平成22年から12年間にわたり水道料金を維持しながら、施設を統合して効率的な運用を行い、また、人件費などの経費削減にも努めてきました。しかし、昨今の水道料金収入の減少に加え、物価の高騰なども相まって、経営がいっそう厳しくなっています。そのため、一般会計から赤字補てん(資金不足補てん)をいただくことになりました。赤字補てん(資金不足補てん)の額は、平成30年度1千5百万円、令和元年度2千万円、令和2年度はさらに増えて3千万円です。令和3年度については、経営的に人件費の削減ができたため、赤字補てん(資金不足補てん)はありませんでしたが、特別な事由がなければ、赤字補てん(資金不足補てん)は続くと予測しています。
 昨年来、さまざまなものが値上がりし、家計の負担も増加していることは重々承知しており、大変心苦しいところですが、水道事業を将来にわたって継続していくために、やむなく水道料金を平均20%程度値上げさせていただくこととしました。

料金改定の時期

料金改定は10月1日に実施され、11月の検針分から新料金が適用となります。

改定のポイントは二つ

水道料金全体に占める装置料金の割合を増やし、使用水量に影響されない収入を一定程度確保します。現行約1割のところ、改定後約2割に引き上げます。
水量料金の1㎥当たりの単価を消費税抜きで、5円から115円の範囲で値上げします。
 口径φ13mm・φ20mmが大半である一般家庭については、急激な負担にならないよう、5円から15円の範囲の値上げとしています。
 二つの考え方に基づいて改定した場合、水道料金の試算(消費税抜き)は、
 現行料金で据え置いた収入2億4千1百万円が、改定後2億8千6百万円となり、4千5百万円の収入増となると見込んでいます。
 なお、全水栓の95%を占めている口径φ13mm・φ20mmの一般家庭の料金収入に占める割合は57%程度であり、水道料金の6割弱を負担していただいています。改定後においても現行と大きな変更はなく、一般家庭の皆様、事業者の皆様に、ほぼ同じ割合でご負担をお願いするものです。

料金改定の背景にある「水道事業の抱える課題」

〈水道施設更新費用の増大〉

① 配水管・老朽管の更新と耐震化の推進
 道路(地中)に埋まっている配水管の老朽化が進んでいます。古いものでは、昭和47年頃に敷設され、すでに50年以上が経過しているものもあります。そのような配水管が島内いたるところにあって、たびたび漏水しています。ときには、皆様の生活にご迷惑をおかけするような大きな漏水も起きています。それらを災害に強い耐震性のある配水管に、計画的に取り替えていますが、令和4年度末の耐震化率は、坂下35%、坂上27%、全体で32%で、3割強しか進んでいません。長期計画で進めなければならない大きな課題です。
 令和2年度から11年度までの10年で、15.5kmを24億円かけて更新する計画で、現在、進めています。

②浄水場・高度浄水施設の導入
 老朽化した浄水施設等の更新も大きな課題です。町では浄水場を10か所管理しています。以前は、12か所ありましたが、給水人口の減少や、施設更新により機能強化が図られ、効率的に配水ができるようになったため、数も減ってきています。今後も将来を見据えながら、効率的な運用に取り組み、施設の休止なども検討していきます。
 現在、坂下地域の広範囲に配水している「大川浄水場」の更新を進めており、令和5年度に完成予定です。大規模な施設であり、施設の部分だけで事業費は約7億5千万円かかります。今後、このような大規模な事業は計画されておりませんが、既存施設を改修し維持管理していくための費用は、これから先も必要になってきます。一例として、鴨川導水管改修は、事業費が約3億円、令和7年度までの計画で実施します。老朽管の耐震化を含めた水道施設の更新費用は、令和2年度から11年度までの10年で、約60億円を見込んでいます。

〈水使用量の減少による収入減〉
 事業を計画的に実施するためには、当然、財源(資金)が必要です。国や東京都からの補助金、また借入金も活用していきますが、自己資金も一定程度は必要となります。
 人口減少に伴い給水人口も減っていく中、節水機器の普及なども相まって、水道料金収入は減少しています。5年前の2016年は2億6千万円ありましたが、2022年は2億4千万円、5年後の2028年は2億2千8百万円まで落ち込むと予測されています。

〈更新費用の増大と料金収入の減少〉
 老朽化した施設・設備の更新や耐震化に必要な費用は増大し、一方で、料金収入は減少の一途をたどりつつあり、今後の水道事業経営は厳しさを増していきます。
 今後、現行の料金のまま必要な工事を行おうとすると、施設等の更新費用を賄えずに、安定して水を供給できなくなるおそれも出てきます。
 そのため、料金改定することで、事業を計画的に実施するための費用が確保でき、災害にも備えられ、安全安心な水を安定してお届けすることが可能になります。

料金改定でどのくらい値上がりするの? 平均的なご家庭で月600円前後

① 現行料金との比較
 口径φ13mmもしくはφ20mmが大半の一般家庭を例に説明します。
 φ13mmのご家庭が1か月で使う水の量は平均で17㎥、φ20ミリのご家庭では18㎥です。
 φ13mm17㎥の場合、新料金は消費税を含め3,311円、旧料金2,744円と比較して567円値上げになります。φ20mm18㎥の場合、新料金3,630円で649円値上げになります。
 水の使用量が平均的なご家庭では、月あたり600円前後の値上がりとなります。
 次に、月に50㎥とたくさん水を使われるご家庭の場合、φ13mm新料金は消費税を含め11,726円で913円増、φ20mmは11,880円で990円増となります。

②新旧料金比較表
 口径別の単価を3区分から4区分に変更しました。φ13mm・φ20mm同区分、φ25mm・φ30mm同区分、φ40mm・50mm同区分、それ以上がφ75mm、の4区分です。
 一般家庭(φ13mm・φ20mm)を例に、装置料金と水量料金の各段の単価について説明します。
 装置料金は、φ13mmの旧料金380円が新料金760円に、φ20mmでは450円が900円で2倍になります。
 水量単価は、φ13mm・φ20mmは同区分で、第1段(1~10㎥)が120円で10円アップ、第2段(11~20㎥)が150円で5円アップ、第3段(21~50㎥)が240円で10円アップ、第4段(51㎥~)が290円で15円アップとなります。φ25mm・φ30mm区分は新設定。以下、φ40mm・φ50mm区分、φ75mm区分は比較表を参照ください。

閉栓(休止)手数料の改定 2千円を5千円へ

 3年間使用予定がない水栓について、届出に合わせ手数料をお支払いただければ、3年間は装置料金が無料になる制度です。休止水栓であっても漏水等の確認のため、毎月の検針費用はかかっており、本来、装置料金をいただきたいところですが、特別の措置として取扱っています。

おわりに

 今回の料金改定にあたっては、町としてもよりいっそう効率的な運営によって経費削減を図り、自己資金が少しでも多く確保できるように経営努力してまいりますので、料金の値上げについて、ご理解をお願いいたします。

補足説明

・次回の料金改定についての考え方
 今回の料金改定のみで将来にわたり安定的な経営ができるとは考えていません。5年ごとに料金改定の効果を検証しながら改定について検討していく方針です。

・高齢者世帯水道料金の減免制度は継続します
 一定の所得以下の高齢者世帯(70歳以上、2人世帯まで)の減免制度は、これまでどおり継続します。広報はちじょう6月号に申請方法等を掲載します。

【問い合わせ】
企業課水道浄化槽係 電話 2-1128